梅雨が目前に迫る今週末は、やり残したタマネギの収穫と果菜類の植え付けを優先させねばならないと考えていた。前日の金曜、時間が取れたので会社の帰りに畑によって草むしりと収穫を済ませる事にした。疲れていたが週末の負担を少なくしようと思ったのである。
ところが、意気揚々と『主役交代キャベツ「みさき」…』と先週ブログにした「みさき」に異変が起きていた。きれいに結球した葉っぱが割れだしたのである。トウ立ちが起きたと直感した。「みさき」はトウ立ちしやすい品種なので秋蒔きはせず早春にタネを蒔き育苗して初夏取りとしていた。でも、今年の4月は雪も降り冬のようであった。秋蒔きと同じになってしまったのである。プロの農家なら先週の時点で全て収穫して出荷するので問題はないが、細々と長く食べ続ける家庭菜園ではそうはいかない。
無事なもの1株と、被害が少ないものを1株収穫することにした。この時期の収穫の主役はキャベツとレタスの葉ものでる。毎年食べきれないので割れがひどいものは除外したのである。
その日、女房は朝から実家に行き、土曜も遅くに帰ってくる予定になっていた。土曜の食事の準備は娘達に託されていた。「みさき」の無残な姿を忘れられない俺は昼飯を彼女らに任せるとキャベツは少しか使ってくれないと心配するようになった。
懸案事項を取り除くには自分で行動しなければならないと気付いたのである。昼飯は俺が買出しに行き、キャベツをたくさん使う焼きそばを俺が作ることにした。スーパーでは他に、我が家の非常用カップ面も手にしたが思い直し、キャベツをたくさん使えるインスタントラーメンに変えて購入した。
帰宅すると早々に昼飯の用意に取り掛かった。トウ立ちを始めかけた芯を取り除き、ぶつ切りし、それをザルで洗った。1個丸ごと使うつもりだったが半分しか使えず道半分というところであった。『あちらこちらにキャベツは散らかっているし、切り口も大きい』と次女が俺の料理につこみを入れてきた。
そこで、『これが男の料理だ』と俺は言い放った。『だから、片付けはしない』。そうなのだ、男は細かい事に拘っていけないのである。がさつで不器用であっても気持ちがあればそれで良いのである。続けざまに『夜はキャベツラーメンだ』と宣言までした。俺は着々と「みさき」救済の布石を打っていたのであった。
「男焼きそば」は娘達に好評であった。食事の時の話題は当然キャベツ料理になった。キャベツ料理はロールキャベツぐらいしかないと言う長女にホイコーロウ、餃子、中華丼と知っている料理を並べた。「みさき」は生が一番美味しいことも伝えた。実は生キャベツは「男の料理」ではないのである。なぜなら千切りができないからだ。
「男焼きそば」を食べた後、畑に行きタマネギの収穫と乾燥の準備を無事済ませた。昨日、割れて放置すると決めたキャベツ「みさき」を確認した。欲が出てきて割れキャベツ2株収穫した。そして、帰りがけにスーパーに引き寄せられようにホイコーロウの材料を購入した。これでキャベツ中心の「男のホイコーロウ」を作ることにしたのである。男は決断と行動が大事なのである。
帰るとすぐに「キャベツホイコーロウ」を作ると宣言した。『メニューがラーメンから変わっている』とまた次女につこまれた。『ママと一緒だな』よく女房も買いだしにいくとメニューが変わるのである。そうこうしているうちに女房が娘達の好物の崎陽軒のシュウマイを買って、夕飯に間に合うとの連絡が入ってきた。
ここで引き下がったら誰がキャベツの窮状を救うのか。付け合せにキャベツ炒めを俺が作ることにした。普段料理をしない俺の「男の料理」の話題で娘達と盛り上がったと後で女房から聞いた。
日曜の昼も「男焼きそば」を作った。午後から畑に行き、今日も割れ始めたキャベツを4個収穫してきた。割れても食べてもらえることが分かったので他のキャベツも安心して正体を現したのかもしれない。夜は女房が「ホイコーロウ」を作ってくれた。どうやら、俺が「男の料理」を始めた事で「みさき」は救済の道が開けたようだ。
「男…」とはなにかと便利な言葉だ。でも、この頃は、多用は禁物である。世の中はワークライフバランスが重要といわれだし、男の身勝手な理屈は通用しない時代になりつつある。草食系と揶揄される「ゆとり教育」世代はそれを具現化しているのかもしれない。
番外編
羊年生まれの山羊座の長女はのんびりとした性格であった。でも、希望の大学に合格してからは自信がついたようだ。精神的にも成長したと妻と安心したところである。ところが男子が多い理系大學に通う長女の彼氏のことで妻の友人達は盛り上がっていると夕食時に聞いた。
長女から普段の勉強が足りないと言われている次女が『草食系男子を狙えば』と焼肉をほうばる長女に向かってポツリと言い出した。
肉食系女子? 長女を妻と見てしまった。
続けて次女が『一緒に草でも食べてれば』
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