ブルーベリーをめぐる攻防・・・第24話
この時期いつも俺は悩むのである。それはベランダで育てている15年もののブルーベリーの樹だ。
『春にかわいい白い花が咲き、新緑と紅葉が美しく、おまけに初夏には実まで収穫できる』と9年前サカタのタネの園芸通信で知り、一軒家に住んでいた小田原時代に購入した。
購入した苗はプロが畑で6年育てたラビットアイ系ブルーベリーだ。
ブルーベリーは普通の草花や、野菜と違い酸性の土を必要とする。18号のテラコッタに鹿沼土や、ピートモスを使って酸性の培養土している。乾燥に弱いブルーベリーの株元にバークチップとヘデラで覆って対策をしている。
ブルーベリーは自家受粉が苦手で、購入したときに、おまけにハイブリッシュ系の1年苗がついて来た。
小田原時代ムクドリの夫婦が花が咲く頃から毎日訪れるようになって、実が出来ると食べられていた。
ブルーベリーの実を楽しみにしていた幼かった子供たちはガッカリした。子供達にブルーベリー防衛隊を結成させたが、下見に来るくらい賢い鳥を追い払らうことは出来ず、小田原時代の4年間は収穫なしだった。
でも俺は4つの楽しみの内、花と新緑と紅葉の3つ楽しめたので良しとした。
その後、転勤で千葉の内房に引っ越してきて、今に至っている。その時、イギリスから取り寄せた「アイスバーグ」は置いてきたが、ブルーベリーの樹だけは連れてきたのだ。だがハイブリッシュ系は夏の移動がたたり枯れてしまった。
ベランダの主役に納まったブルーベリーの樹は春にかわいい白い花を咲かせ、新緑は素晴らしく、なんと初夏には実が収穫できたのだ。子供たちは大喜びした。
田舎では他に食べるものがたくさんあり、実は食べられなくて済んだものと女房と納得したのであった。
内房は小田原より暖かく、紅葉はいまいちであったが実が収穫できたので、小田原時代と同じく3つ楽しめたので、それで良しとした。
翌年の春、花が咲かないのだ。おかしいなと思いよく観察すると、なんと、ムクドリに花を食べられていた。
初収穫はたんに気づかれずに済んだだけだったのだ。
それにしても、いくら食料確保といえども、荒っぽい仕事ぶりだ。花を愛で、新緑を楽しみ、それから収穫すれば好いのにと“後先かまわず”の所業に腹が立った。
その年ブルーベリーでの楽しみは新緑のみとなった。
また、防衛隊の結成を呼びかけたが『ネットをすれば良い』と成長した子供たちに一蹴された。ネットをしたところ実が収穫できた。
でも、ネットをしたら収穫目的だけの農家になってしまう。俺は、今は確かに家庭菜園をしている週末農夫でもあるが植物との付き合いはガーデニングが出発点だ
ネットをすると美しくないのだ。季節の移ろいを知らせてくれる果樹はガーデナーの領分だと思っている。
ブルーベリーの白い花が咲くこの時期、ネットをすべきか、そのままにすべきか悩む。農夫の俺とガーデナーの俺の攻防が始まるのだ。
昨日、このブログを書いていたら、威嚇しながらムクドリがやってきた。悩んでいる時間はない。
ブルーベリーと同級生の次女が帰ってきたので手伝ってもらいネットをした。
受験生は目が大切なので、今年は農夫になった。
親心である。
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