昨年、サカタのタネからキユウリの苗を購入して栽培した。天気に恵まれて6月上旬から毎日毎日収穫が続き、我が家の食生活を「一食一キュウリ」と大学で管理栄養士の勉強をしている三女は言っていた。俺はキュウリ「ロス」がやってくると彼女に反論していたのだった。

晩夏にキュウリの収穫が終わり、冬を迎えるころにはキュウリ「ロス」が現実のものとなり、じらした後に初夏に俺のキュウリが登場する。そういう構想を俺は抱いていた。
冬、三女の調理実習講義でキュウリを使った薄切りテストが持ち上がり、自宅で特訓が始まったのである。キュウリを毎日、毎日食べる事態が起きたのであった。それも美味しくない冬のスーパーのキュウリだ。
俺の期待したキュウリ「ロス」はやってこなかった。
俺は一考した。
キュウリの苗栽培だと一度に複数定植しなければならず、初夏に大量収穫が始まり飽きられる。タネからであれば苗作りをコントロール出来、収穫量も調整できるのである。加温温室を作成すればプロ苗のように春先から定植出来きる。そうすればキュウリのありがたみが家族に伝わると考えた。
冬場の苗作りは順調に進み思惑通り、キュウリを3月下旬2株定植した。ところが4月上旬気温が冬に逆戻りし定植したキュウリは枯れてしまったのである。
でも、慌てなかった。用心深い俺は次の苗が1株育っていたのである。4月下旬定植した。そして、新たにポットにタネを播いた。双葉が出た。
しばらくすると一株双葉がなくなり、もう一株は一葉になっていたのである。苗の周辺を見るとナメクジがいた。俺は成敗し、残った一葉苗に殺虫剤かけ、本葉まで育苗し、5月中旬に定植した。そしてまた、ポット2コにタネを播いた。

双葉が出た。暖かいので外に出しておいたら、一つが食われてしまった。スズメが食べたと俺は思い無事の苗を加温を止めた温室で育苗することにした。

また、双葉が一葉になった。家族がキュウリを大切にしないから、キュウリが自殺を図ったのだ。キュウリロスの呪いだ。やけになっていった。
「共犯者がいるはずだ」と、いつもの冷静な俺に戻った。現場を捜索することにした。温室内にナメクジが一匹いた。即座に死刑にした。一件落着。
温室の役目は終わったのでついでマットヒータを片付けた。ナメクジを5匹見つけた。組織ぐるみの犯行であったのだ。俺はポット3個にまたタネを播いた。6月になっていた。
定植した苗は葉ダニが発生していた。キュウリの小さい実をつんで薬剤処理をした。

夏のような暑さがやってきた。まだ俺の畑にはキュウリの実がない。今日の昼、「冷やし中華始めました」と女房がスーパーのキュウリを登場させていた。

スーパーのキュウリでも美味しかった。キュウリ「ロス」が起こっていた。

6月に蒔いたキュウリも発芽した。大事に大事に薬漬けにして育ている。
女房には「これからはスーパーのキュウリを買うな」と言っている。
いや、頼んでいる。
お願いしているのかな。
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