「インカのひとみ」の収穫と味見・・・第29話
長年愛用していた「インカのめざめ」が入手できず「インカのひとみ」やフランス生まれのジャガイモ5種セットを購入して栽培している話を書いた。その続編である。
「インカのひとみ」の茎はナスを思わせ、ナスのような実を期待したが、豪雨がたたり花さえ見られずに枯れてきた。
これは収穫の知らせなので「インカのひとみ」とフランス生まれのジャガイモの一種「シェリー」、定番の「キタアカリ」を先週の週末、全て一人で掘り出した。
収量は品種によるバラツキが大きい。「男爵」、「メークイーン」は植えつけた量の10倍程度は収穫できる。スーパーなどで売られている両者は安定して収穫出来る芋なのでプロが好んで栽培する。でも味はイマイチ。だから、俺は品種にこだわるのだ。
今回キタアカリは2kg植えつけた。それに近い量収穫でき、まずまずである。
「シェリー」は500g植えつけ、これもまずまずの収穫量であった。サカタのタネのキャッチコピーによるとフランス種では食味No1とあり、赤芋で楽しみな品種だ。
ニューフェイスの「インカのひとみ」。
「インカのめざめ」の代役であったが、俺の心の中で今回の主役に昇りつめた大型プロジェクト「インカのひとみ」なのだ。いうならばジャガイモ事業、期待の星だ。
真の実力を試すのに研究費をケチってはいけない。一番高い芋であったが1Kgも買った。
その植えつけてある畝を掘り出したところ小芋ばかりだった。1Kg植えつけて、1kg収穫。なんと低い収率だ。
この現実を前に俺は、解析を始め、来年に向けて収量アップのリカバリー策をあれこれ考え始めた。「・・・・・ 」。
だが、リカバリー策を考える前にやるべきことがあることに気づいた。
たとえ、収量を上げたところで肝心な「お客様」の心つかまなければ何にもならい。そうなのだ、最終的には市場が決めるのだ。
俺の場合、家庭菜園の「お客様」というのは家族なのだが、この客は手キビシイ。いくら収量が上がろうが関係なしだ。
美味しくなければそれまで。タマネギのように日持しないジャガイモの宿命ともいえる。
「インカのひとみ」を家に持ち帰り判定の日を待つこととした。その結果次第で方針が決まる。
ジャガイモの味は吹かしたてが一番美味しい。で判定の日は一緒に食べられる週末だと勝手に思いこんでいた。
でも、俺の思いとは違い、それは水曜日突然やって来た。遅めの夕食だったので判定に立ち会えた。
その日帰ると吹かした芋がころがっていた。ジャガバターだ。サカタのタネがいうように「インカのめざめ」より赤みがある。
「美味しい?」と聞く俺に
子供たちは「何が?」と
「ジャガイモの味だよ。」 と俺。
「インカのめざめより美味しい?」
このプロジェクトを左右する判定だから俺はうるさく聞いた。
「ん・・・美味しくないね」。と一言。誰ともなく言われた。
俺も赤みがかった芋を食べた。ジャガイモというより、甘くないサツマイモを食べているようだった。
このプロジェクトは5ヶ月で終わった。
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